石川県内で唯一、専業で炭焼きを営む珠洲市東山中町の「ノトハハソ」。能登半島地震で4基あった炭焼き窯が全壊した。同社代表で炭焼き職人の大野長一郎さん(47)は、「途方もない」と肩を落とす。
2022年の地震で工場の天井が崩れ、23年の地震で一部の窯が壊れた。周囲の協力を得ながら修復し、ようやく炭を焼き始めた矢先、今回の地震で全壊したという。
1971年に父親が創業した製炭業を03年に引き継いだ。炭に使うクヌギの木は、大野さん自らが、炭焼き工場の近くに植林した。
バーベキューなどに使われる木炭だけでなく、茶道で使われる茶炭も扱い、全国の茶会で愛されてきた。大野さんを案じて金沢から訪ねてきた常連客は「大野さんの炭は美しさが他と違う」と評価する。
地震の度に修復を行ってきた大野さん。今はまだ模索中だが、「この土地で炭焼きを続けるために、窯も見直して持続可能な方法で続けたい。やめませんよ」と前を向いた。(金居達朗)
有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。
※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル